世界中の人々に“東洋の神秘”と称賛された伝説のモデル 

しかし、その人生は多くの謎に包まれていた…

 

1970年代初頭、オイルショックで閉塞感が漂っていた日本。自分達に自信が持てず、欧米の真似をすることにエネルギーを注いでいた時代。そんなときに“日本人であること”を武器に、たった一人で世界に闘いを挑んだ女性がいたのです。黒髪に切れ長の瞳、神秘的で妖艶な容姿の中に宿る、挑戦的かつ情熱的な魂。山口小夜子。

 

山本寛斎、髙田賢三、イブ・サンローラン、ジャンポール・ゴルチェら一流のファッションデザイナーに愛され、セルジュ・ルタンス、横須賀功光などトップクリエイターのミューズとなってイマジネーションを与え、常に時代の先端を走り続けました。ミック・ジャガー、スティーリー・ダン、世界のスターと渡り合った日本女性。しかし、その正体はミステリアス。この映画は、生前、山口小夜子と交友のあった松本貴子監督が、彼女と親交のあった人々の証言を集め、残された貴重な映像に触れながら「山口小夜子」を探す旅に出ます。今初めて、彼女のまだ見ぬ扉をそっと開けます…。

 

山口小夜子 没後8年、彼女が愛した膨大な数の服やアクセサリー等の遺品を初めて開封しました。モデルとして“着る”だけではない衣で異を“創る”山口小夜子の止まった時間が動き出し、今まで触れることのできなかった彼女に少しだけ近づきます。どうして山口小夜子は、モデルの道に進むことになったのか。トップモデルとしての階段を駆け上がっていく中での苦悩とは。切れ長の眼、黒髪のおかっぱ頭といった日本的なイメージは、当時のトップクリエイター達の手によって確立していきました。そして彼女もモデルとしてだけでなく、表現者として大きな存在感を示しはじめます。映画、演劇、ダンスパフォーマンス、衣装デザインといった多彩なジャンルに進出し、時代の最先端に居続ける努力を惜しみなく続けます。50歳を境に自らまとっていた“山口小夜子”を脱ぎすて、若い世代のクリエーター達の才能を発掘、共にコラボレーションを行うようになっていきます。亡くなるまでの7年間、彼女は“新しい小夜子”を作り出そうともがいたのです。表現者として妥協を許さなかった彼女は、どこを目指していたのでしょうか。

 

2007年の夏、友人からの電話で山口小夜子さんが亡くなったことを知った。

余りに突然で、車の中で叫んだのを今も覚えている。

小夜子さんと私は「ファッション通信」というテレビ番組で知り合い、その後NHKの番組で一緒にモロッコを旅した。小夜子さんにとっては、初めてのドキュメンタリー体験。いつもカメラが傍らにいるのは大変だったみたい。でも最初の機会を私に与えてくれたことを感謝した。

そして、もっともっと一緒に何か出来ると思っていたのに、、、

 

今年の1月、7年間大事に保管されていた小夜子さんの遺品の一部を見ることが許された。

目の当りにした瞬間、私の中に眠っていた、“また小夜子さんと仕事がしたい!”という気持ちに火が着いた。映画は、『山口小夜子という宝箱』を開けていくような想いで作った。

その宝箱が多くの方々の記憶に残ることを願って・・・

監督
松本貴子
出演
山口小夜子/天児牛大/天野幾雄/生西康典/入江末男/大石一男/大塚純子/掛川康典/ザンドラ・ローズ/下村一喜/セルジュ・ルタンス/ダヴェ・チュング/髙田賢三/高橋靖子/立花ハジメ/富樫トコ/富川栄/中尾良宣/藤本晴美/松島花/丸山敬太/山川冬樹/山本寛斎
詳細
2015年/日本/97分/DCP/カラー
コピーライト
©2015 プロジェクト茨城
RELEASE
2023/11/17
NON-THEATER SCREENING
  • BD
  • DVD
  • DCP
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